アラビア文字拡張A
アラビア文字拡張A(アラビアもじかくちょうA、英語: Arabic Extended-A)は、Unicodeの22個目のブロック。 解説アラビア文字のうち、アラビア文字、アラビア文字補助のいずれのブロックにも含まれていない文字を収録している。ミャンマーの少数民族であるロヒンギャが話すロヒンギャ語や、フラニ語の方言であるアダマワ・フルフルデ語やハウサ語、ウォロフ語などの西アフリカ地域の諸言語、パキスタンやインド、アフガニスタンなどの南アジア地域で話されるパンジャーブ語やバルティ語、アルウィー語、ヨーロッパや中央アジアで話される諸言語用の拡張文字、イスラム教の聖典であるクルアーンを記述する際に用いられる記号などが含まれている。 通常のアラビア文字同様に子音字のみを記述するアブジャドで、右から左に横書き(右横書き)し、単語の位置によって独立形・語頭形・語中形・語末形の4つの形状に変化する。また、クルアーン表記用の結合記号も含まれている。 本ブロックはUnicodeのバージョン6.1で初めて追加された。 収録文字
小分類このブロックの小分類は「アフリカ諸言語用のアラビア文字」(Arabic letters for African languages)、「ロヒンギャ語用の従属子音字」(Dependent consonants for Rohingya)、「欧州及び中央アジア諸言語用のアラビア文字」(Arabic letters for European and Central Asian languages)、「ベルベル語用のアラビア文字」(Arabic letter for Berber)、「アルウィー語用のアラビア文字」(Arabic letters for Arwi)、「早期アラビア文字」(Early Arabic letter)、「ブラバ語用のアラビア文字」(Arabic letters for Bravanese)、「ワルシュ式正書法用のアラビア文字」(Arabic letters for Warsh orthography)、「ヒンドコ語用のアラビア文字」(Arabic letters for Hindko)、「ハウサ語・ウォロフ語及びその他のアフリカ正書法用のアラビア文字」(Arabic letters for Hausa, Wolof and other African orthographies)、「パンジャーブ語用のアラビア文字」(Arabic letter for Punjabi)、「バルティ語用のアラビア文字」(Arabic letter for Balti)、「クルアーン正書法用の追加」(Additions for Quranic orthographies)、「クルアーン註釈記号」(Quranic annotation signs)、「アルウィー語用の拡張母音記号」(Extended vowel sign for Arwi)、「ロヒンギャ語用の拡張母音記号」(Extended vowel signs for Rohingya)、「ロヒンギャ語用の声調記号」(Tone marks for Rohingya)、「アフリカ諸言語用の拡張母音記号」(Extended vowel signs for African languages)、「拡張母音記号」(Extended vowel signs)の19個となっている。[2]本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。 アフリカ諸言語用のアラビア文字(Arabic letters for African languages)この小分類にはアラビア文字のうち、カメルーンで話されるフラニ語の方言であるアダマワ・フルフルデ語などの西アフリカの諸言語を表記するための文字が収録されている。Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加され、のちにU+08A1がバージョン7.0で追加された。 ロヒンギャ語用の従属子音字(Dependent consonants for Rohingya)この小分類にはアラビア文字のうち、ミャンマーのラカイン州などに居住する同国の少数民族であるロヒンギャが話すロヒンギャ語を表記するための文字が収録されている。Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加された。 欧州及び中央アジア諸言語用のアラビア文字(Arabic letters for European and Central Asian languages)この小分類にはアラビア文字のうち、ベラルーシの公用語であるベラルーシ語やクリミア半島で話されるクリミア・タタール語などのヨーロッパの諸言語や、タタール語、バシキール語、チェチェン語、ラク語などの現在のロシア連邦に含まれる中央アジアやコーカサス地域の諸言語の表記に用いられる、或いはかつて用いられていた文字が収録されている。 ベルベル語用のアラビア文字(Arabic letter for Berber)この小分類にはアラビア文字のうち、モロッコやアルジェリアなどの北アフリカ地域に居住するベルベル人が話すベルベル語派の諸言語の表記に用いられる文字が収録されている。 アルウィー語用のアラビア文字(Arabic letters for Arwi)この小分類にはアラビア文字のうち、インドのタミル・ナードゥ州やスリランカなどにおいて、イスラム教徒が話すタミル語の方言であるアルウィー語の表記に用いられる文字が収録されている。 早期アラビア文字(Early Arabic letter)この小分類にはアラビア文字のうち、古いアラビア語の文献において、字母カーフ(ق)とファー(ف)の書き分けが定まっていなかった時代における字母カーフの異体字の一つ[8]が収録されている。 ブラバ語用のアラビア文字(Arabic letters for Bravanese)この小分類にはアラビア文字のうち、東アフリカに位置するソマリアのブラバなどに居住するブラバ人が話すスワヒリ語の方言であるブラバ語の表記に用いられる文字が収録されている。 ワルシュ式正書法用のアラビア文字(Arabic letters for Warsh orthography)この小分類にはアラビア文字のうち、中世エジプトのワルシュによって発案されたワルシュ式正書法によるクルアーンの表記に用いられる文字が収録されている。ワルシュ式正書法は、北アフリカ及び西アフリカで最も広く普及している伝統的なアラビア文字による聖典の記述法である。[2] ヒンドコ語用のアラビア文字(Arabic letters for Hindko)この小分類にはアラビア文字のうち、パキスタンやインド北部に居住する民族であるヒンドコワン(Hindkowans)やアフガニスタンに居住するHindkiよって話されるインド・ヨーロッパ語族・インド語派に属する、パンジャーブ語と近縁の関係にあるヒンドコ語の表記に用いられる文字(シャームキー文字)が収録されている。 ハウサ語・ウォロフ語及びその他のアフリカ正書法用のアラビア文字(Arabic letters for Hausa, Wolof and other African orthographies)この小分類にはアラビア文字のうち、ナイジェリアやニジェールなどで話されるハウサ語や、セネガルなどで話されるウォロフ語を始めとしたアフリカの諸言語の表記に用いられる文字が収録されている。 パンジャーブ語用のアラビア文字(Arabic letter for Punjabi)この小分類にはアラビア文字のうち、パキスタンのパンジャーブ州やインドのパンジャーブ州で話されるパンジャーブ語の表記に用いられる文字(シャームキー文字)が1文字のみ収録されている。 バルティ語用のアラビア文字(Arabic letter for Balti)この小分類にはアラビア文字のうち、インドとパキスタンの領有係争地であるカシミール地方の北部に位置するバルティスターン地域のギルギット・バルティスタン州などに居住するバルティ人が話すシナ・チベット語族に属するバルティ語の表記に用いられる文字が収録されている。 クルアーン正書法用の追加(Additions for Quranic orthographies)この小分類にはイスラム教の聖典であるクルアーンの記述に用いられる記号類が収録されている。 クルアーン註釈記号(Quranic annotation signs)この小分類にはイスラム教の聖典であるクルアーンにおいて註釈記号として用いられる記号類が収録されている。この小分類に属する文字の提案のため、本ブロックが新たに追加されることとなった。[20]Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加された。 アルウィー語用の拡張母音記号(Extended vowel sign for Arwi)この小分類にはインドのタミル・ナードゥ州やスリランカなどにおいて、イスラム教徒が話すタミル語の方言であるアルウィー語の表記に用いられる母音記号が収録されている。全て文字幅を持たない結合文字である。 ロヒンギャ語用の拡張母音記号(Extended vowel signs for Rohingya)この小分類にはミャンマーの少数民族であるロヒンギャが話すロヒンギャ語の表記に用いられる母音記号が収録されている。全て文字幅を持たない結合文字である。Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加された。 ロヒンギャ語用の声調記号(Tone marks for Rohingya)この小分類にはミャンマーの少数民族であるロヒンギャが話すロヒンギャ語の表記に用いられる声調記号が収録されている。全て文字幅を持たない結合文字である。Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加された。 アフリカ諸言語用の拡張母音記号(Extended vowel signs for African languages)この小分類にはアフリカの諸言語において用いられる母音記号が収録されている。全て文字幅を持たない結合文字である。Unicodeのバージョン6.1で本ブロックと共に追加された。 拡張母音記号(Extended vowel signs)この小分類にはその他の母音記号が収録されている。全て文字幅を持たない結合文字である。 文字コード
履歴以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
出典
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